House K2
建設場所:鳥取県東伯郡琴浦町徳万
構造規模:木造、平屋建、172㎡
設計・監理:加登脇建築設計事務所
施工:カドワキケンセツ
デザイン協力:米田建築アトリエ×Niimori Jamison Architects
構造設計:柳室純構造設計
撮影:河田弘樹
デザイナーご紹介
米田建築アトリエ×Niimori Jamison Architect
デザイナーからのconcept
都市部から地方へUターンする家族のための住宅である。
敷地は鳥取県の日本海に面する街。近隣に山陰本線の駅や地域センターがあることから、人通りの多い場所である。
一家は建設業を営んでおり、新しい事業展開のために、この住宅にフラッグシップとなる記号性を強く望んだ。私たちは、「矩形」を「周りの環境に影響されにくい形態」「スケールを明確に表す形態」として捉え、記号性との統合を試みた。一家はこれまでの経験から、一般から逸脱した大きなスケール感覚を持っていたからだ。
住宅は上記の背景から、8m×8m×4mのスケールアウトしたLDKと、親密なスケールを持ったその他の諸室で構成した。LDKの機能を持つ中央のヴォリュームは、東西を軸としており、北側の駅、南側の主要道路に面する南北のヴォリュームの高さを抑えることで、その大きさを強調させている。平面計画としては、LDKを中心に、北側に水周り、南側に和室と寝室、西側に子供室、東側にテラスを配置した。平家であることもあり、LDKを0地点とした、XY軸の動線計画である。
また平面の特異性を際立たせるために、建築を抽象化する矩形、雨の多い鳥取の空の「青灰色」を選択している。その空の色を室内にも取り込み、外部の控えめな光との調和を試みた。家具や建具には、一家が大切にしている絵画に溢れる色彩を素材に変換し、仕上げとして取り入れた。住人と環境との隙間を素材や色彩で埋めるためである。
歩いて前を通る人。電車や車でこの場所を通り過ぎる人。彼らの無意識下で、これら抽象性が一種の違和感となり、大きさと相まって記号性に繋がることを目指した。